サスペンス・ミステリー ★4(どうせ観るならこの評価以上の映画を!)

【パラサイト半地下の家族】★4の感想「伏線回収までが長いけど、最後の畳みかけは見事な韓国映画】

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オールドボーイで韓国映画が好きになり、マ・ドンソク兄貴にハマって今にいたる訳ですが…
本作はカンヌ映画祭パルムドール受賞作ということで期待を胸に映画館に観に行ってきました。

平日の日比谷TOHOシネマズ。14日は1,200円のサービスデーだったので仕事帰りの最終回にゆったり鑑賞。
客は6割くらいの入りだったかな。

毎週チェックしている週刊文春の映画レビューでは、『パラサイト半地下の家族』が4人全員5点満点だったので更に期待が高まります!
ファミ通だったら間違いなく殿堂入り案件!(ネットが無い時代はこれを参考にソフトを買ってたなあ…)


ちなみに同週に紹介されてたもう一本は『フォードVSフェラーリ』も1人4点がいたものの、他は全員満点でこれまた殿堂入り映画。
1月は新作映画のアタリ月でしたね!

…ということで『パラサイト 半地下の家族』の感想&ネタバレへ早速GO!

あらすじ

失業中の父親キム・ギテクとその妻チュンスク、そして大学受験に失敗続きの息子ギウと美大を目指す娘のギジョンの4人が暮らしているのは半地下の薄暗い貧乏アパート。しがない内職で糊口を凌ぐ日々だったが、ある日ギウのもとに家庭教師の話が舞い込む。エリート大学生の友人から留学中の代役を頼まれたのだ。さっそくギウは経歴を偽り、IT企業の社長パク・ドンイクとその家族が暮らす高台の大豪邸へとやって来る。すぐに家族の信頼を得たギウは、今度は言葉巧みに妹のギジョンを美術の家庭教師として家族に紹介し、パク家に招き入れることに成功する。こうして少しずつパク家の中に自分たちの居場所を確保していくキム一家だったが…。(オールラインシネマより)

「パラサイト半地下の家族」の評価 ★4

メッセージがはっきりしてるので、万人受けしそうな映画でした。

主な感想ポイント

    1. 「半地下」から連想したもの
      このタイトルを聞いた時に真っ先に連想したのが去年見た『US(アス)』ですね。

      で、本作を見て『ああ、似たような話だな。こんな題材(経済格差)が世界のトレンドなんだろうな』と勝手に頷いていました。

      金持ちは地下の貧乏住人には気にも留めず毎日を生活し、片や地下で貧困にあえぐ貧乏ワールドの住人はすぐ上にいる金持ちたちを意識しながらも抜け出せずに毎日を悶々と生きていく。
      昔、常盤貴子&織田裕二のドラマで『真昼の月』ってあったけど、このタイトルを思い出したね。
      常に月はあるけど、日中は気付かない、でも確実にそこにいるよって話。
      でも真昼の月って、良く目を凝らしてみれば見えるんだよね。ちゃんと見ようと思えば。

      あと、邦題の『半地下』の『半』ってのがいいね。
      『半グレ』の『半』と同じ。スゲー中途半端な存在。
      どっちに転んでもよかった存在。
      実際、半地下家族の息子は大学受験して合格していれば紙一重の差でまた違う生活が待ってたかもしれない。
      貧民と金持ちは結果としては圧倒的な差が生まれてるけど、その過程はほんの些細な差の積み重ね。
      まあ、それが大きいっちゃー大きいんだけど。
      半地下家族は、「万引き家族」のように一線を越えて犯罪行為をしていたわけでは無く、一応ビザの箱作りをしていたようにギリギリのところで地道に真っ当な均衡を保っていた印象。松岡茉優みたいに娘さんは風俗で働いてなささそうだったし…兎にも角にも地下じゃなくて、半地下に住んでる意味ってのがしっかり見えてセンスあり!

    2. 勝手に肩透かしを喰らったシーン①
      金持ちの息子がモールス信号を解読したシーン。
      当然何かアクションを起こすと思ったら…何もしないってオチ。
      金持ちは貧乏人のSOSなんか無視するよってことですか。
      それも純粋無垢であるはずの子供にその役回りをさせるという。
      いえいえ、子供は純粋無垢でありません。
      そんな綺麗に単純な存在じゃありません。
      金持ち娘も『弟はわざと天才を演じてる』みたいなこと言ってたし。

    3. 勝手に肩透かしを喰らったシーン②
      暴風雨の夜、金持ち夫婦がいちゃついてるソファーの真下で半地下家族たちが隠れてるシーン。
      てっきり雷で明るくなって窓に半地下家族が映ったのが金持ち夫婦に見えてバレる!って妄想してました。

    4. やっぱ階段て、いいですよねって話
      『ジョーカー』のダンスシーン、『君の名は』のラストの主人公二人が再開するシーン、古くは鎌田行進曲。
      階段て印象的なシーンに使われることが多い。
      半地下家族が住んでる近辺の階段のある風景はなんか落ち着く。
      日本人のDNAになんか刷り込まれてるのかな。
      長崎もそういや良かったなあ…
      ちなみに幼稚園の時に、駅の階段を見事にコロコロと転げ落ちたけど無傷だったのはいい思い出。
      あの頃は受け身が取れてました。んっ、なんの話だ…

    5. いい映画は感情がジェットコースターのように揺さぶられる
      心がざわつかなければ映画を見る価値が無い!そう思ってるのでジェットコースター気分を味わえるのは良作の証拠!
      しかもその振れ幅がデカいし、あらゆる感情の方向に振り回されるしで疲労困憊!
      でもあっという間に駆け抜けるから心地よい疾走感。ほんと長さを感じさせない手腕はすごい!
      前半から中盤、後半にかけて作品のトーンが一気に変わる様はほんとに感動すら覚える。
      それも自然にギアチェンジ。脱帽。

    6. 金持ち家族、半地下家族双方の描写のバランス感覚が素晴らしい
      この手の映画を安っぽくすると、恐らく金持ち家族をもっと嫌な感じの鼻につく描写にしそうだけどそうはしなかった。
      どちらかというと善人側の人間として描かれている。
      あの程度はスメハラには当たらないしw
      逆に半地下家族もどこか共感して応援したくなる余地を残している。
      まあ、人間そんな単純な善悪の対立じゃないよってことなんだろうけど、金持ち家族の描写の抑制の取れた感じが好感でした。
      ブックスマートでも感じたけど、明確な悪を作り出さないのが最近の映画のトレンド!?

    7. 格差問題を解決するにはどうすりゃいいの?
      最近『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』を読んだんですが、それと絡めて考えてみたら…
      社会を変えるには、その社会システムの要求に適合しながらシステムを批判的に見ることだと説いています。
      つまり、システムを修正できるのはシステムに適応している人だけだと。
      新しいシステムにリプレースしようとしてもオウム真理教や日本赤軍のように失敗に終わります。
      だから、半地下息子は受験戦争に打ち勝ってまずはシステムに適合していこうとしたわけで…(本人はそこまでの意識は無いと思いますが)
      ただし、適合しても結局そのシステムの恩恵を受け続けたまま、悪いシステムだと頭の片隅には思いながらも見て見ぬふりをして体制側にべったりくっついて利権をむさぼってしまう…そこを変えていくには高い美意識(美術の素養があるとかないとかの話ではなく、善悪の分別の話)が必要なんですね!
      残念ながらこの金持ち家族にはその美意識は乏しかった…

      このように高評価ではあったのですが…

      オールドボーイは超えられないなあ。前半の、のんびりほんわかトーンがちょっと長すぎた印象。
      和牛の漫才みたい。エンジンのかかりが若干遅い。
      伏線回収に手間取った点がマイナスで☆4つ
      そもそもそんなに伏線も無かったけどね。

      そういえば、『犯罪であろうと国を売ろうと無計画なら失敗にならない』ってセリフは良かったなあ。
      目先の支持率、目先の選挙…日本も韓国もひいては世界も、計画があるように見せかけた無計画な現実。

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