意外な掘り出し物映画だった劇場版『若おかみは小学生!』でしたが、気になる点がありました…
小学6年生の主人公が、祖母の経営する旅館で若おかみとして働くのは、「労働基準法に違法するのでは無いのか?」という問題
映画「若おかみは小学生!」様々な服を着る関織子(おっこ)GIF pic.twitter.com/qojyK0IPOg
— アニメのGIFまとめbot (@AnimeGIF__bot) May 25, 2020
まず初めに伝えたいのは、子供向けのこの映画は、アラフォーの私が鑑賞しても充分見るに堪えることができた以上の感動があったという点!
特にアニメオタクでは無いんですが、テレビで放映している映画は片っ端から録画して見てるんで今回は期待せずに「どうせ、子供向けのアニメ映画だろう」くらいの予備知識しかなくて見たらまさかの掘り出し物でした。
これがあるから映画は辞められません!
新海誠監督も絶賛…
映画『若おかみは小学生!』、素晴らしかったー! 幾度も笑わされ、何度か泣かされました。それもとても巧みで自然な演出で。アニメーションとしても技術的に見所だらけですが、物語としてとても素敵でした。まだ終わって欲しくない、もっとこの主人公を観ていたいと劇場で思ったのはいつぶりだろう。
— 新海誠 (@shinkaimakoto) September 23, 2018
ちょっと脱線しますが、私、昔から映画が好きでして、大学生の頃は1日1本以上のペースで映画を見ていました。
400本近く見ていた年もありましたね。
試写会にも応募しまくってこちらは月1くらいで当たってたっけ。
呪怨の試写会で推定少女が生ライブしていたのはいい思い出。
推定少女って今どこにいったかね…
とにかく映画を見たくて、自分の部屋にテレビ2台並べて、片方で吹き替え映画見て、片方で字幕映画を見るという同時視聴の荒業もこの頃はやってました。正直、話の筋を追うので精一杯でしたが…
なので、「選り好みせずにどんな映画でも見よう」という精神に基づいて今回も視聴!
で、冒頭の問いかけに戻りますが…
観客の90%は恐らく気になったと思います。
こんな小学生が結構夜遅くまで身内の旅館とはいえ、住み込みで働くのはいかがなものか?と…しかも文部科学省選定なのに…
若おかみ、小学生を働かせているので思いきり労基法違反だと思われる。その辺をファンタジーとして許容できるかどうかは、なかなか厄介な話だと思います。
— nisoku2 (@nisoku2) September 26, 2018
ツイッター上でもこんな声が結構あったり…
ということで早速専門家の方々に聞いてみました。
聞いたのは仕事でいつもお世話になってる「日本の人事部」ってサイトのQ&Aコーナー。
日本の人事部のQ&Aにプロフェッショナルとして答えてみました。4人目に載っているのでぜひスクロールを笑。どなたでも無料で読めます。よろしければぜひ!
▼中途採用者の離職を防ぐための施策https://t.co/5QrC0kMalr
— 鈴木さくら|キャリアコンサルタント×新米広報 (@39ravivalavida) April 15, 2020
結構すぐにレスポンスがあるので、総務部の人間としては重宝しています。
私が質問した内容は下記の通り。
児童(小学校6年生)の就業について
お世話になります。
『若おかみは小学生』という映画を鑑賞したのですが、その中で、小6の少女が祖母が経営する旅館で働いているという設定がありました。
この場合、労基法上では家事使用人ということで別段問題は無いという解釈でよろしいでしょうか?
仮に深夜に働いても問題は無いのでしょうか?
それに対する回答はこちら。
(社労士事務所オフィスみらい)
同居の親族のみを使用する事業および家事使用人には労基法は適用されず、当然この家事使用人の中には年少者や児童も含まれますので、そういう解釈で問題はないでしょう。
いくら家事使用人であっても、小6の児童を深夜に働かせるのは、健康および福祉を害することにもなり、公序良俗に反し認められるものではありません。
ところで、労基法ではあくまでも事業場において使用できる未成年者は、原則として、満15歳に達した日以後の最初の3月31日(満15歳年度末)を終了した者ということになり、例外的に、一定の業種については、要件を満たせば満15歳の年度末を終了しない児童を労働者として使用することが可能とされています。
満13歳未満の児童の場合、映画の制作や演劇の事業(いわゆる子役)のような、児童の健康や福祉に害のない軽易な業務であれば、労基署長の許可を得れば修学時間外に限って使用する事ができるのであって、修学時間内に使用できるという例外規定はなく、かつ、旅館、料理店、飲食店または娯楽場における業務は許可はされないということになります。(年少者労働基準規則9条)
さらに別の方(服部賃金労務サポートオフィス代表 服部康一)からも回答が。
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、家族が経営する旅館業務に従事されているという事でしたら、家事ではございませんので家事使用人とはなりません。但し、当該旅館が同居の家族のみを使用する事業であれば労働基準法は適用されませんので、13歳未満の就労禁止に反する事にはなりません。
勿論、フィクション映画での話ですので、仮に法令に反する内容が見られても直ちに問題となるものではございません。
設定では家族以外の従業員もいたので労基法違反になるか?重ねて質問したところ…
ご返事下さいまして感謝しております。
「設定では家族以外の従業員もいたので労基法違反ということでしょうか?」
― そのような状況であれば適用除外とはなりませんので、労働させる事は認められないものといえます。
とのことでした。
まとめると…
- 主人公のおっこが労基法を適用されるか否かは、家事使用人に該当するかが争点。
- 通達によると家事使用人とは『従事する作業の種類、性質の如何を勘案して具体的に当該労働者の実態によって決定すべきであり、家事一般に従事している者がこれに該当する。』とし、『法人に雇われ、その役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下に家事一般を行う者は家事使用人である(したがって、労働基準法は適用されない)。』としている。(昭63.3.14基発150号、平11.3.31基発168号)おっこはばっちり接客もこなしているし、上記服部さんの指摘するように旅館業務は家事には当たらないため家事使用人ではない。かつ、同居の家族以外の従業員(仲居、料理人)もいるので適用除外対象にもならず。
以上より、おっこは労基法違反につき経営者のおばあちゃんが罰せられる可能性がある。
よってクロ!
まさか、おっこが役員登記してる?代表者?だったりしたら話が変わってくるが、登記する際には印鑑証明書が必要になり、証明書は通常15歳以上でないと発行できないので多分これも厳しいでしょう。よってやっぱりクロ濃厚。
本当はこの映画の素晴らしさに言及したかったけど、思ったより本記事だけでボリュームがあったので別の機会で…