★4(どうせ観るならこの評価以上の映画を!) ヒューマンドラマ

【ノマドランド】★4の感想「つまらない?わからない?確かに眠くなるけど興味深い映画」

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公開初日、朝8時50分の回に有休取得して観に行ってきたネタばれ感想

アカデミー賞最有力候補、ノマドランドを有給取って観に行ってきました。
公開1週前の週刊文春の映画批評コーナーで★5つが結構並んでいたので、その時から心を決めていた次第。

それと主役の女優、フランシス・マクドーマンドのスリービルボードも映画館で観たけど大好物な作品だったのでその期待値も込みで。

俳優の名前だけで『よし、内容は分からんけどとりあえず観に行こう!』って思える数少ない女優さん。
ちなみに他にはフィリップシーモアホフマンとかジョージクルーニーとかドニー・イェンもそんな感じ。
あと、スティーブンセガールも…はいっ、そこ失笑しないっ!
テレ東で放映されてるセガール映画は全部録画して観てますからネタじゃないですよ 😈 

本作は2017年出版の『ノマド 漂流する高齢労働者たち』というノンフィクションの本が原作。

ノマドって言葉はこの1~2年で知ったけど、本作で出てくるノマドウォーカーは都会では無く広大なアメリカを季節ごとに点々と職を求め彷徨う遊牧民のような存在らしい。

なかなか興味深そうな題材なのでこれは快作の予感!

公開初日有楽町のトーホーシネマズで気合の8:50スタート鑑賞。
普段会社行くより早く起きたよ。

それにしてもいつもトーホーシネマズの予告編案内人でしか見ない山崎紘菜が、モンスターハンターに出演するのにはなんとも感慨深かったなあ…やっと映画を紹介する側からされる側になったかと…

ということで館内6割程度の入りの中、鑑賞スタート。

①映画館で見るべき理由

単純に家でこの映画を観たら…

寝ます!

でも決してつまらないわけじゃないんですよ。
物語は決して起伏がある訳でもなく、ある程度予想通りに進んでいきます。
なおかつ広大なアメリカ大自然がヒーリング効果になるので家で寝そべりながら鑑賞したら寝落ちします。

どちらかというと本作はフランシス・マクドーマンドの生き方(あくまでも役の上の生き方ですが、これを見たら現実の生き方に見えてしまうほど溶け込んでいます)を通じ、鑑賞者自身の人生について自分と対話する映画なので家でスマホとかいじりながら観たらそれができずもったいないです。
映画館で集中して感慨にふけるべき一作ですのでぜひ劇場でご覧ください。

②アマゾンが収益をあげている理由が垣間見れる

主人公はアマゾンの繁忙期に巨大配送センターみたいな場所で季節労働するわけですが、その場所が土地代のかからなさそうな田舎のだだっ広い所なんですよね。
で、そこに恐らく低賃金な季節労働者を集めて作業させているという。
その間、駐車場をタダで貸して、ほとんど皆さん車中で寝泊り状態。


こんな話は昔から聞いていたのでなるほどなあと思いながら…

経済的に二極化した世界から脱却して自由を手に入れているはずのノマド達が、その巨大化している象徴であるアマゾンの一端で低賃金で働くというなんとも言えない社会の縮図。
それでも定期的に働ける場所を提供している分まだマシと捉えるべきか…

③道の駅で車中泊をして生活している日本の高齢者の姿を思い出す

決してアメリカだけの話じゃないんだよなあ…
もちろんノマド生活の規模は異なるけど日本での貧困高齢者の問題にも通じるわけで。

老後をのんびりキャンピングカーでアメリカや日本を周遊する…っていう車中生活ならいいけど決してそうじゃなく、家賃払えない&年金少ないからそうせざるを得ないって話だし。
役所に申請することも思いつかない人が餓死しているケースも現実にあるしねぇ。
今後車中生活者が増えても駐車場で車中泊させてもらえず困るケース、もっと増えていくんですかね…

④『ハウスレスだけどホームレスじゃない』と言うパンチライン

主人公のセリフで
『ホームレス』じゃない、『ハウスレス』だ
というセリフが出てきます。

ほとんど一緒じゃねーか!

って傍から見ると思いますが、当人たちからすると違うようです。

私の認識では↑こんな感じの認識だったんですけどね…ホームレスの中にハウスレスがいる括りかと…

でもこんな定義もあるようです。

経済的に困窮はしていても人とのつながりは持っているのがハウスレス。
もしくは心の中に家族(ホーム)との思い出を有しているのがハウスレス。
この主人公も夫をがんで亡くし、その思い出と荷物を積んで旅をしていた訳で…

決して社会とのつながりを断絶しているわけじゃないっていうプライドというか自尊心みたいなものが感じられましたけどね。

でも最後思い出の荷物を処分して心も少し軽くなった主人公が非常に印象的で、少し明るい希望を灯してくれるラストが余韻を残します。

でもこれから空き家問題も増えていくし、このような人たちをマッチングさせる行政の仕組みはできないですかね…過疎化した限界集落とかに安く住んでもらうようにするとか…でももうやってそうだな、そんなこと。

そういえば、このパンチラインで思い出したのが↓この動画の3:32の所。
『ホームレスだけどホープレスじゃねえ』

牛込寅太郎に『ハウスレスだけどホームレスじゃねえ』ってラップして欲しい 🙂 

⑤どんな風に働くかというよりは何のために働くか

現代社会においてよりクローズアップされてる問いかけだよね。
働く手段はたくさんあるけど、何のために働くかを定めてないと結局同じのような。

つまりどう生きるかって話ですかね。

人事総務の立場からしても、給料だけでは無い従業員への会社としての価値提供の仕方について考えさせられもしました。

ほんと、今の時代にタイムリーに観るべき映画ですね。
アカデミー作品賞と主演女優賞はダイヤモンドより堅そうな本命作でした。

ちなみに、劇中では死んだ彼女、実際には生きているようです…良かった。

★×4.0(5点満点)

 

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