★3(まあ、普通。可もなく不可も無く…時間があれば) ヒューマンドラマ

【ドライブ・マイ・カー】★3の感想「つまらなくは無いけれど…人間描写と映画表現のバランスが?」

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2022年、アメリカアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した「ドライブマイカー」
アカデミー賞自体は、ウィル・スミスの平手殴打事件がすっかり話題をかっさらってしまいました…

映画館で鑑賞しようか悩んでいるうちに時間が経過し、動画配信が始まってしまいました(まだ公開している映画館もあります)。

ちょうどDMMポイントが余っていたのでアカデミー賞授賞式の日に440円で購入。
ちなみに2日間視聴可能。

結論としては★3。「大傑作か?」と自問自答したら、「う~ん…」と考えてしまったので…
映画的な面白さで言えば同じく国際長編映画賞を13年前に受賞した「おくりびと」の方が上だったかな。
でも見て損は無いので適当に感想を…

あらすじ

舞台俳優で演出家の家福悠介は、妻の音と穏やかで満ち足りた日々を送っていた。しかしある日、思いつめた様子で“今晩話がしたい”と言っていた音は、家福が帰宅する前にくも膜下出血で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまう。2年後、『ワーニャ伯父さん』の演出を任された演劇祭に参加するため愛車で広島へ向かう家福は、寡黙な女性みさきを専属ドライバーとして雇うことに。やがて様々な国から集まったオーディション参加者の中に、かつて音から紹介されたことのある俳優・高槻耕史の姿を見つける家福だったが…。(オールラインシネマより抜粋)

「ドライブ・マイ・カー」の評価 ★3(ネタばれあり)

それでは思いつくままに感想を…

①運転手と演出家の距離感表現

西島秀俊演じる演出家と、三浦透子演じる寡黙なドライバーの心の距離感がいくつかの印象的なシーンで表現されていました。
まず座席の遷移。
最初は運転席対角の後部座席に座り、その後運転席後部へ。そして最終的には助手席へ。
上座で言えば運転席後部が最上位だけど、単純にドライバーとの物質的距離感が詰まっていったのは面白い…というか分かりやすい。

あとタバコを通しての触れ合いね。タバコの「吞みにケーション」ともいうべきか。
サンルーフから燻らせるシーンは印象的だけど、腕が辛くない?って思ってしまった…
四十肩の俺にはできない…


個人的に全くタバコは吸わないので、会社で毎日30分以上タバコ休憩でいなくなる従業員との待遇差をいつか改善したいと思う一人ではあります。

②不倫している妻のシーンで、なぜかCoccoの「強く儚い者たち」を思い出した

急遽帰宅したら妻役の霧島れいかと若い俳優役の岡田将生が不倫しているシーン。
そういや高槻(岡田)は未成年との淫行でフリーになったのに、今度はアラフィフの脚本家と不倫とは守備範囲が広すぎて尊敬するわ。。。

で、その不倫現場を観ながら頭に浮かんだのはCoccoの「強く儚い者たち」のこの歌詞。

きっと飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振ってるわ

人は強いものよ
そして儚いもの

(強く儚い者たちの歌詞より抜粋)

まさしく腰を振ってたわけですが…
これを見て見ぬ振りをすることで逃げてしまっていた家福の弱さが結局後悔する羽目に。
一歩踏み出す勇気が必要と説くこの歌詞と被ってしまいました。

③サーブのナンバープレート「3982」

「サンキュー、ワーニャ」かな?とニヤリとしてしまいましたが、妻に向けての「サンキュー、ハニー」という話も…
後者は思い浮かばなかったなあ…多分こっちっぽい気はするが…

もし結婚する前から乗っていたとしたら昔から家福が好きであったであろうチェーホフの「ワーニャおじさん」愛ゆえのナンバーかと解釈してました。
こういう細かい遊び心は観ていて楽しいですね。

④懸念していた岡田将生が意外にも良かった

リーガルハイとか数本の映画でしか観た印象でしか無かったけど、無理した演技の下手な役者のイメージだったのでちょっと本作を観るまで懸念してました。
でも、本作では軽薄でちょっとヤバめの役者像にぴったりでハマリ役でした。
間違いなく本作の貢献度は高かったです。
車内での告白シーン、あの目が印象的。

⑤棒読み演技論

なんかそういうメソッドがあるようですが、自分を空っぽにして自我を捨てて演技をすることの難しさを表していたのかなと。
演劇には全く疎いのですが、家福を介して劇中劇のワーニャおじさんにもすんなり観客が入り込めた導線作りは見事。
その中で、棒読みメソッドは興味を惹きました。

⑥人間描写と映画表現のバランスが…

2022年3月29日の日経朝刊の社説にて。

濱口監督を指導した黒沢清監督は、こんな問いを発している。

「人間描写と映画表現、このあまりにもかけ離れた二つの作業を、完全に平等に、かつ同時に行おうとする濱口竜介は、果たして映画の救世主なのか、それとも破壊者なのか……」

本作は人間描写の比重が重いので完全に平等では無かったような…

高槻の殺人事件や北海道旅行の件は、全体的に平坦な流れの中において映画的な刺激ある描写ではあったけど、違和感があったのが残念。
いくら衝動的な行動をしてしまう高槻だとしても、写メを撮られたくらいで撲殺までするかね…
闇を抱えていたとはいえ、なんかイメージと結びつかなかったんだよなあ…

北海道旅行の件。
さすがに広島から北海道まで車で行く必要ある???もうちょい近場の設定の方が「すっ」と状況を飲み込めたよ…
この手の映画は、少しでも違和感を感じてしまうと心が離れて引いてしまうから残念…

この辺りの違和感が無ければ文句なしの★4つでした。

⑦ラストの韓国描写

赤のサーブはみさきに譲ったのかな。
やっと妻との思い出から脱却できたようで。
みさきが在日韓国人でルーツを探しにいったのか、父親と暮らしているのか…

詳細はわからないが頬の傷も治療し、穏やかな笑みを浮かべたのは印象的。
整形大国韓国なら安かろう…

でもチェーホフの舞台上、拍手喝采のシーンで終了した方が良かったような…
劇中劇と映画が連動性し綺麗に一体となって完結する方が好み。

韓国パートは蛇足だと感じたが、納得できる解説を探しています…

クチコミ

ドライブマイカーはユーネクストで視聴できます

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