今日は渋谷のアップリンクで映画鑑賞(2017年)
「はなちゃんのみそ汁」でお馴染みのはなちゃんが通っていた、福岡の保育園での食育を追ったドキュメント。
全国から関係者が視察しにくるようです。
初回の回10時30分を観ようとしたら、10分前では満席でやむなく次の12時40分の回へ。
この日は初回に監督のトークショーがあったらしく混んでたみたい。
1,000円カット&昼食ラーメンで時間をつぶし、いざ上映時間へ。
ちなみにこの映画館、渋谷の文化村の近くにあるんですがキャパが50名くらいで小さく、女子トイレは並ぶので近くのベローチェとかで済ませた方がいいかと。男子トイレはあまり関係ないですが。
今回も30名くらい客がいたけど男性は4名くらいでしたね。大半はおばちゃん。
上映開始と思いきや、青葉区在住のオオタヴィン監督が予定外の登場で簡単に映画の説明。
こうして直接監督の口から作品への想いを聞くと距離が縮まるので次回作に寄付してあげたくなるのが心情。
5分弱の話のあと、いざ上映。予告編は全く流れずいきなり本編から。
『いただきます みそをつくる子どもたち』はこんな話
日本の伝統的な食養生や医食同源に基づいた食育をする福岡市の高取保育園を追ったドキュメンタリー。
福岡県の高取保育園には、まるでタイムトリップしたかのように、懐かしい日本の子育て風景が残っている。
子どもたちは裸足で園庭を駆け、竹馬で遊び、そして伝統的な食養生・医食同源に基づいたみそ汁、納豆、玄米、旬の野菜を中心にした和の給食を口にする。
ここでは子どもたちが毎日玄米を研ぎ、全園児200人分のみそ100キロを、5歳児のクラスが毎月仕込んでいく。
そのほか梅干し、たくあん、高菜漬けづくりにも子どもたちが参加している。(以上Movie Walker より)
ナレーションは石田ゆり子が担当。低予算の中で、ここが一番金がかかっていそう…
私の転職先が学校等に販売する食器メーカーということもあり食育活動にも力を入れています。
食育を様々な角度から勉強する意味も込めてこのマイナー映画を鑑賞した訳で。
福岡の高鳥保育園と、30年前から同じく和食給食を取り入れている神奈川県の麦っこ畑保育園の様子を軸に展開していきます。
食育ドキュメンタリーなんだけど、主役は完全に高鳥保育園の西福江園長。
85歳くらいまで現役園長をしていた方ですが、なんとなく修道女みたいなんですわ。
結婚もせず、子供もいない、卒業生みんなの母親的な人物。実際、卒業生が先生に会いに遊びに来ています。
生味噌、玄米を中心とした食生活のおかげでアトピーが1ヵ月で治ったお子さんの例とか、和食中心で落ち着きが出て話を長く聞ける園児が多いとかその効用は色々あるんですが、なんといってもこの園長の存在が大きいです。
園長中心に、園児、保護者、先生が三位一体となって作り上げてるのがよくわかる。
©2016「いただきます」製作委員会
監督自身も病気になった際、和食中心に切替て体質改善を図った結果健康を取り戻した経験があるらしく、その思い入れは映像に伝わってきました。
以下気になった点を箇条書きで。
- みんな家で虐待されて飯を食ってないんじゃないかって思う位、園の昼ご飯を残さず食べる
綺麗になめるように食べてます。っていうか比喩じゃなく本当に毎日出る納豆を皿まで舐めてた子がいました。
よく運動をさせてお腹を空かせた状態とは言え本当に気持ちいいくらい食べてました。
我が子には見られない有様だったのでやらせじゃないかと疑うほど。
でも事実のようです。
監督も開始前のトークで撮影時にたまたま綺麗に食べてたわけでは無く毎日それが続くと言ってました。
玄米ももっちりしてそうで美味しそうだし慣れれば子供も受け入れるんですね。
和食は子供が食べないっていう先入観があるから余計に驚く。 - 味噌作りはイベントでは無く仕事
毎年卒園する年長から下の代へ味噌作りを継承する式があります。
でもこれはあくまで仕事だと園長は言ってました。
一過性のイベントでは無く、自分たちの食事は自分たちでつくる、自分の体は自分で守る。
これら当たり前のことを当たり前のように捕えるために『仕事』であると。
単なる体験で終わらせず、定着させる姿勢が素晴らしいと。 - 多分、お皿は陶器
映画では触れてないけど恐らく見た感じ本物の陶器っぽかった。
壊したら割れるから物を大事に扱ったり、本物に触れるため、ってな理由でしょう。 - 発酵学の第一人者である小泉武夫先生がやけにメディア慣れしすぎてる
和食の中に含まれるミネラルが興奮ホルモンを抑えたり、味噌の抗酸化作用を説明するため小泉先生が出てるんだが、やけに説明が立て板に水のごとく上手すぎて、若干胡散臭く感じてしまう。もっと素人っぽいというか、学者学者してる感じの方が説得力が増しそう。 - 食べたものが、私になる
最後にこのメッセージが出るわけですが、これを見て福岡先生の動的平衡の話を思い出しました。
生物を構成する分子は日々入れ替わっているって話。昨日は私は今日の私では無いって事。私たちそのものを作ってる『食事』を安易に考えすぎてるきらいは確かにあるわけで。
それは『忙しいから』、とか『面倒だから』という言葉に置き換えられて和食が遠くなりにけり。
でも楽して体を整えるのには限界があってそれなりに手間暇かかるんですな、健康を手に入れるには。
所詮、ファストフードは早いだけ。時間を取るか、健康を取るか…
子供たちに和食を強制するのではなく、そのような考えがあるってことの選択肢を小さいころから与える事が必要なんでしょう。
その先にその子が大人になってマックばっかり食べててもそれはそいつの勝手な訳で。
でも最初からマックばっかで和食の選択肢を教えないのは親としての手抜き…
- 日本人が和食を食べるには理由がある
これも当たり前なんだけど、遺伝子レベルで日本人は野菜中心の食生活に適した体になってます。
人間、生まれて『ゼロ』から体が形成されるのではなく、遺伝子によって受け入れるもの、受け入れにくいものが決まってるんですな。だから欧米の食生活は負担がかかるんです。
文化を継承するってことは、遺伝子レベルに記憶された我々日本人が日本人らしく健康に生きるための先人からの教えを乞うことなんでしょう。
食育をする理由もそこまで動機づけがはっきり見えれば、形だけの授業では無い、意味のある一コマになっていきそうです。
是非、学校関係者始め、栄養士の方々等に見てもらいたい映画です。 - セピア感を出そうとして狙った映像がちょっと違和感
これは映画の中身というよりは手法の話。
小泉先生の話の時とかに、画面がモノクロになったり、わざとぼやけ気味になったりして、昔の日本ぽさ、原風景感を出そうとしている所が見え隠れしました。
でもちょっと効果的でないというか、その感じはいらないかなあと。
ちょっと気が散ったもんね、もっと自然な感じでいいのでは? - クラウドファンディングの可能性
この作品も流行りのクラウドファンディング作品。
企業のスポンサーが無い分資金的には厳しくとも、自由に制約なく作れる利点があり今後増々増えていくんでしょうな。
ネットで資金も集めやすくなったし。
作品が良かったり、監督のファンが増えれば、地域密着の市民球団である広島カープのようなイメージで、大きなうねりを起こしていけそう。細く長く愛される作品も増えるだろうし。
今まで埋もれてたような作品が表に出やすくなったのは良かろうと。
また、本作は各地で自主上映してる見たいだけど、学校関係者とかに見せて回ればメジャーな大規模上映でなくともお笑い芸人の地方営業のような形で一応食ってはいけそうな感じ。
農林水産省のバックアップも取り付けてるから食育絡みで公立学校での上映とかもしやすいだろうし。
この手の作品がもっといろんな分野にスポットを当てて出てくるといいですね。 - 最後に
生味噌を調べてみたらこんなのが良さそう。今度自分でも買ってみるかな。
あと、高鳥保育園の本も出てるから併せて今度読んでみたい。
評価は、応援の意味も込めて、☆×4(5点満点)。
お子さんを持つ方々には是非観て欲しい一作。上映時間も75分位なんでサクッといけます!
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