【2017.11.28アナザーストーリーズ視聴】ジョージ・A・ロメロが語るゾンビの本当の正体。それは…




NHKBSプレミアムで、沢尻エリカを案内役とした番組が放送されてました。

皆大好きゾンビ映画!
かく言う私もゾンビ物を良く見ます。

ゾンビ映画が1968年10月1日に公開されてから来年で50周年。
今年はそのゾンビ映画の生みの親、ジョージAロメロが77歳で亡くなった年でもありました。

番組ではゾンビ映画の誕生秘話とそれに影響を受けた人々にスポットライトを当てた内容。
以下印象に残った点をつらつらと…

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド誕生秘話

まず初めにロメロの記念すべきゾンビ映画1作目の話から。

  1. ゾンビでは無くグール!?
    制作当初は巨大な昆虫などが襲ってくるモンスター物を想定していたが、いつの間にか相手は死人に…
    しかもなぜその死人が襲ってくるのか不明な点が斬新だった。
    名前もこの映画ではゾンビでは無くグールと呼ばれていた。
    いつしか死者が蘇る土着信仰と結びついて、生き返る死体=ゾンビと呼ばれるように。
  2. 当初、主役は白人の予定だった
    実際は黒人俳優デュアンジョーンスが主役であったが当初は白人の予定だった。
    公開当時、まだまだ人種差別が根深かった。
    主役が黒人だと差別主義者を刺激しかねない。
    そんな危惧もあったが当時の時代背景を踏まえ若者たちは理不尽な世の中に怒っていたため、その怒りをホラーで表現しようと思い、あえて黒人に。
    公民権運動やベトナム戦争が起きる中、若者が大人たちに翻弄されている現状への反発が根底にあった。
    せめてそんな世の中を映画で変えたかったとのこと。
    そんなロメロ達白人スタッフの想いと、黒人の主役の想いが一つになり連帯感が生まれた。
  3. ラスト、主役の黒人が死ぬシーンについて
    ラスト、主役はゾンビに殺されるのではなく、白人の自警団に撃たれて死んでしまう。
    このシーンを主張したのは主役の彼で、白人対黒人の構図を描きたかったとのこと。
    よって、監督に『自分は死ぬべきだ!』と進言。
    そんなこんなで出来上がった映画を売り込みに行く最中に、キング牧師が暗殺される。
    そこで大手配給会社からはエンディングを問題視され(黒人を刺激したくない???)、差し替えるなら買い付けると言われるもそれを拒否。
    結局小さな配給会社に売り込むことに。
    1968年10月1日公開に公開された同作品はカルト人気を博す。
    特にラストシーン、黒人の多い地区では観客が椅子の上に立ってスクリーンに怒鳴っていたとのこと。
    それぐらい世の中に対して鬱屈したものが蔓延してたのでしょう。

ドーンオブザデッド誕生秘話

ロメロのゾンビ映画2作目は1作目から10年経って公開された。
舞台はショッピングセンター。

  1. 特殊メーク担当トム・サヴィーニの話
    13日の金曜日の特殊メイクも手掛ける巨匠。
    元々1作目も担当するはずが、徴兵されベトナムへ従軍カメラマンとして行く羽目に。
    そこで様々な体験をする。
    ベトコンが手榴弾もって近づいてきて、そのまま爆発してバラバラになったシーンとか。。。
    そんな過酷な戦場体験も『特殊メイクの勉強』だと言い聞かせて耐えた。
    しかし、今でいうPTSDになり、戦場から帰ってきてもまるで感情が無くなってしまったらしい。
    イラクからの帰還兵の若者と一緒ですな。
    そう、そんな彼はまさしく無表情なゾンビそのものであった。
    しかし、真夜中のカーボーイを見て感情が戻り、ラスト主人公が死んだシーンで、涙があふれて感情が表に出たのだと。
    映画館のスタッフに促されてやっと退席。
    そんな彼が特殊メイク&実際に本作でクレイジーにゾンビを撃退する役で出演しているのだからより作品は強烈なものに。
    彼にとっての本作の仕事は、ベトナムでの傷を癒す行為だったのかも知れない。
    ちなみに映画予算のほとんどは特殊メイクに投資したらしい。
  2. ゾンビは何かの象徴であり例えである
    10年間ゾンビ物を取れなかった監督の理由は、取るべきテーマが見つからなかったため。
    しかし、70年代後半になってやっとそれが見つかった。
    人間が危機に陥った時の行動に際し、ゾンビ=危機と見立てた。

    当時アメリカでは鉄の町、ピッツバーグが日本の影響等で衰退。
    労働者が解雇され路頭に迷った。
    ベトナム戦争で傷ついた若者はフラッシュバックに襲われていた。

    そんな危機が内包されている情勢だったにも関わらず、アメリカとしては豊かそのもので、物欲にあふれていた。
    まるでそんなアメリカの暗部を押し隠すかのように。

    そんな状況を憂いた中で本作品が生まれた。
    だから、物欲にかられる人々=ゾンビに照らし合わせたとのこと。

    死んでもまだ満ち足りずにショッピングモールを彷徨うゾンビは偽りの繁栄をむさぼるアメリカそのもの。

バイオハザード誕生秘話

ジャバニーズゾンビと言えばバイオハザードな訳で、生みの親の三上真司の話。

  1. 自分ならゾンビからこう生き延びる!…がゲームになった。
    ドーンオブザデッドを見た三上が、自分なりにはこう対応したい!というのが元になってゲームに反映された。
    カプコンで入社4年目だった彼がより怖いホラーゲームを作れと指示されて出来上がった本作。
    日本では阪神淡路大震災やオウム真理教のサリン事件等が起こっていた。
  2. 怖がらせるための仕掛け
    ただのシューティングゲームみたいになってしまい、なかなか怖くならなかった製作段階。
    そこで考えられたのはプレイヤーに『気配』を感じさせること。
    画期的だったのは画面が切り替わったその先にゾンビがいる仕掛けで、切替前にはそのゾンビのうめき声がしている状態。
    何かがいるのは分かっても見えない恐怖。
    密室の効果も相まってより緊張感のある仕上がりに。
    ロメロの映画のシーンに似せた箇所もいくつもあるそうです。

  3. 人間らしさのエッセンスを排したのがゾンビ
    三上曰く、人間にとって、一番の恐怖の対象は人間である。
    壊れた世の中で、人間に潜む怖さの根源を破壊できるのはゲームだけである。
    恐怖の大賞を消し去ることができるのはゲームだけなので、壊れた世の中での救いになるはずだと。

まとめ

結局のところ、ロメロ曰く、ゾンビとは我々自身だと言っています。

彼の過去のゾンビ作品では一貫して当時の社会問題を取り上げています。
ランドオブザデッドでは格差社会を。
ダイヤリーオブザデッドではネット社会を。

自分の意見だけを強調するメディアを憂う。
反対意見に耳を傾けない世の中の風潮を憂う。
同じ意見に同調する者たちがネットに集う状況を憂う。

ロメロが描いていたのは死んだ人間ではなく、生きた現実社会でした。

ゾンビ映画は、2000年以降増加しているようです。
ロメロが感じたようなこんな社会不安を投影している背景があるのかもしれません。

以前、ゾンビ映画の見方としてマイノリティーとマジョリティーの逆転を描いているというのを聞いたことがあります。
(確か町山智浩氏のラジオだったかな???)

移民社会のアメリカにおいて、マジョリティだったはずの白人がじわじわとヒスパニック系等の他人種に侵食されている昨今。
ゾンビ映画でも始めは、ゾンビ(他人種)=マイノリティだったのに、段々と感染して人類(白人)がやられていくに従い、マジョリティだったはずがマイノリティに逆転してしまうという設定。

そんなマジョリティ側の恐怖を描いているという解説が、ゾンビ映画の見方として一番しっくりきていたのですが、ロメロの視点を知ることで、より一層ゾンビ映画に対する深みが増しました。

 

 

 

 




コメントを残す