【能と北野映画の共通点】ビートたけし解説の『能の魅力』がわかりやすかった件




2017年フジテレビ27時間テレビにて

27時間テレビ、少ししか見てないけどほんと地味だな。ただ、いつもの27時間よりは見られる。
でもやっぱり27時間やる必要は無いけど。
一昔前のテレ東が、もしも27時間テレビやったらこんな作りになりそう。地味&金かかって無い感&たけしの教養番組的な感じ&関ジャニ。

朝の六時位に、能の魅力についてのパートがあったけど、その際のたけしの説明がしっくり来た。
ある外国人が能にハマってしまい日本に何十年も住んで研究してると紹介されていたが、能の見方を理解できるようになると面白くなると。正直、最初はとっつきにくいというか、どう見たらいいかわからないので何回か我慢する必要があるみたい。
これってある意味、あれだ…ラーメン二郎だ。
最初の2回ははっきり言って美味しくなかったけど、3回目から美味しく感じてその後ハマってしまったからそれと近いのかも…多分違うと思うが。

んで、たけしの能の解説が概ね以下の通り。

『食レポの際、ラーメンの美味しさを伝えようとしてレポーターが一言、「ウマい!」と言ったとする。これで視聴者の10人中10人が美味しそうだなあと感じる。この後更にレポーターが「麺がシコシコして美味しい!」と伝える。そうするとシコシコが嫌いな視聴者が1名脱落する。更にレポーターが「豚骨スープですね」と伝える。そうすると豚骨嫌いな視聴者が更に3名脱落する…というように、過剰に説明すればするほど視聴者は離れていく。これを踏まえたうえで…能は観客に対し、過剰に心理状況を説明したりはしない。受け手がどう感じるかは自由。イマジネーションを巡らせることで面白くなる。最低限の情報を伝えてあとは観客にお任せする。』というような事を言っていた。

能面て、見る角度で喜怒哀楽が異なって見えるから、受け手のちょっとした精神状態の違いで感じ方が毎回変わってきそう。そこが面白いのかも。要は答えがひとつ提示されているのではなく、どんな見方をしてもOKなんだと。

多分、昨今の日本というか世界的にみても、このような感覚は今必要とされてると思う。

テレビも笑いどころで笑い声を足したり、テロップ入れたりして過剰に説明してるし、なんといっても疑問に思ったらネットがほとんど答えを用意してくれている。だから答えがない事象を目の前にすると戸惑ってしまい、無理やり答えをひねくりだそうとする。安易に解釈しようとする。でも答えがないことなんて世の中多いし、それをそのまま受け入れる事も必要なんじゃないかと。それは決して考えることを放棄するのではなく、わからないことがあっても無理に自分の考えを人のそれに擦り合わせようとしないこと。
恐らくそのうち自分なりの答えは見えてくるはず。

以前に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の本について触れたことがあったけど、それと同じかな。アートって、絵も写真も、見方や感じ方は人それぞれだから、それをそのまま言葉にする訓練をすることでビジネスにおいての思考能力が養われるって話。能を観ることも現代の『一発回答病』が蔓延してる世の中では必要なことなんじゃ無いかと。

こんなことをわかりやすく解説したたけしは久々にさすがだなあと感じた訳で。
ブルースリーの『考えるな、感じろ』的な話にも通じるのかしらねえ。

そう考えると、北野映画も極力セリフも排除して、観客に委ねてる感はある。
委ねすぎて失敗してる作品も多いけど。TAKESHIS’とか。

徹底的に無駄を排除・シンプルにして、洗練したカットをつなげば究極的にはいい映画になる。
能の所作なんかを観てると伝え方として、ある意味究極な感じはする。

話はあっちゃこっちゃ飛ぶが、見る人によって感想がわかれる映画はいい映画だと思う。
まあ、べたはべたで面白いんだか、観客が一様に面白かったとか、感動したとかいうのもなんかいただけないというか。
武のキッズリターンが好きなんだけど、ラストのシーンでヨーロッパと日本とでは感じ方が違うらしいね。
日本は若者二人の挫折をバッドエンドと捕らえ、ヨーロッパはそこからの希望と再生を期待する前向きな終わり方と受け取る。

多分、能も北野映画も目指すところは一緒なのかなと。物事には多面性があってどちらにも転ぶし、もしかしたら転がりもしないかもしれない。作り手は無理に答えを用意しないし感じ方を強要したりしない。無理に笑わせたり、泣かせようとしない。

お笑いってそもそも常識を破壊する批判的な物の見方が根底にあると思うから、既成概念を取っ払う武の姿勢が、こうした映画作りにも表れていそう。『予定調和でちゃんちゃん』なんて映画は死んでも作らないでしょう。だから、一流のお笑いの人の映画や本はある程度は面白いんだと思う。映画に限らず、本来アートそのものが固定観念をぶち壊すものゆえに、人々の感情を揺さぶることができるんだろうし。

とりあえず、こんなことうだうだ書く前に実際に能を一度見てみろって話ですね。

 




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